本治法(ほんちほう)
東洋医学では、本治法という考え方をベースに治療を展開していきます。
例えば風邪で咳が出ているとか熱が出ているという症状に対して、
咳止めや熱冷ましで症状を抑え込むのではなく、なぜ咳が出ているのか?なぜ熱が出ているのか?に着目し、その「原因」を治していきます。
肩こりや腰痛についても同様です。
さて、昨日お話した経筋治療についてですが、経筋治療は本治法か?というと、これはどちらかというと表面的な症状を取る方にウェイトが置かれている手法といえます。
とはいえ、経筋治療により完治することも多々ありますし、正味、経筋治療だけで治るケースは非常に多くありますので、患者さまの状態によっては経筋治療が100%本治法に該当することも多くあります。
一般的には経絡治療により、筋骨格系に対して内臓からアプローチしていくのが本治法と捉えられていますが、こればかりが本治法ではなく、上述の通り経筋治療により筋骨格系/筋膜系からのアプローチだけで本治法が完了する場合も多くあります。
※プロの方へ:ここでいう経絡治療というのは、日本独自の経絡治療学会が行っている治療を指しているのではなく、世界レベルで行われている「経絡を用いた治療」を指していますので、誤解なきようお願い致します。日本で経絡治療というと経絡治療学会と同一視されてしまうところが、表現の難しさであります。
患者さまの心の中には、今の痛みをすぐに取り除いて欲しいというお気持ちと、痛くない状態が長く続いて欲しいというお気持ちの、2つが同時に存在していると思いますが、この2つは実はアプローチが異なります。
さっきの風邪の症状で考えると分かりやすいですが、咳はなぜ出ているのでしょうか?発熱はなぜ起こっているのでしょうか?
悪いものを肺から外に追い出すために咳は出ており
体内のウイルスや細菌を滅するために発熱が起こっています
この症状を抑え込むために
脳にある咳中枢に直接働きかけて咳を抑え込むとどうなりますか?
同じく脳にある体温調節中枢に働きかけて熱を抑え込むとどうなりますか?
症状を抑え込むのって、相当ヤバいと思いませんか??
逆に
自己免疫力を高めるとどうなるでしょうか?
咳も発熱も、より一層活発化するというのは理解して頂けますか?
当院にはよく、風邪を治して欲しいという患者さまが来られます。
その時にはこのようなお話をしてから、症状を消す治療と本治法のどちらがお望みですか?とお聞きします。
すると皆さん「本治法でお願いしま、、、いや、、でも明日大切な仕事があるから症状も消して欲しいし。。。両方お願いします!」とおっしゃられます(笑)
風邪に限らず、腰痛や頭痛なども、必要があってその症状は起こっています。
他の生活習慣病や難病なども全て、必要があってその症状は起こっています。
しかし症状を取り去ることも、生活を充実させるためには大切です。
本当の意味で治って頂くように仕込んでいくこと、そして症状を出来るだけ早く軽減していくこと、その両方が私たち治療家には求められていると言えます。
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